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2013-11-11

紋名について考える

少しずつブログ復活させていきます!

紋名とは
紋名とはその文字の如くの意味であり、紋の名称のことである。
紋、いわゆる家紋の面白さはその形状もさることながら、紋名にもある。
大半の紋名はその紋の形状をそのまま示していることが多く、正確な紋名を聞くだけで、大まかな紋の形状を想像することが出来る。
例外的なものは「○○家」と付く紋名や特定の名称が付けられた紋名は多々ある。

紋名のルール
あくまで基本的なことであり、必ずしも絶対ではないが、紋名にはルールが存在する。
例えば、図版に挙げた「丸に五瓜に三つ地紙(まるにごかにみっつじがみ)(図版1)」だが、家紋の外側から内側に向かっての順で名付けられているのがお分かり頂けると思う。
この紋の場合は三つパーツで構成される。
紋に色を入れたので、色で簡単に説明しよう。

1.jpg
図版1:丸に五瓜に三つ地紙

1)赤:「丸」は「丸輪」の略称。外枠の代表である。
家紋に用いられる場合は「堀」や「領土」や「日(太陽)」を示すともいわれる。
屋号の印として用いられる場合は「反物」を示す。反物を横から見た様子を象ったといわれる。
2)青:「五瓜」は「五瓜輪」の略称。五瓜輪は「瓜(か)」と呼ばれるパーツ(濃い青:外側)と「鐶(かん)」と呼ばれるパーツ(薄い青:内側)の二つで構成される。
希に「鐶」がない紋もあるが、その場合は「一重五瓜(ひとえごか)」と呼ぶ。
3)黄:「三つ地紙」。紋名に「三つ」と付く場合は通常この形状のように、回転させる。また、この形状は「尻合わせ」と付く場合もある。

違和感のある紋名
一般的によく使われる紋名だが、違和感があるものがいくつかある。
中でも私がいつも違和感にあるのは「丸に二つ引」や「丸に三つ引」である。
「丸に二つ引(図版2)」紋は図版にあるようなものを指す。
「丸の内に二つ引(図版3)」紋は図版にあるようなものを指す。
「紋名のルール」でも述べた通り、丸輪は外枠として用いられるわけだから、紋名のルールに則ると「図版3」の紋の名称こそが「丸に二つ引」となるはずである。

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図版2:丸に二つ引   図版3:丸の内に二つ引

例えば、貸衣装などでもよく見かける「五三桐(図版4)」に丸輪を付けると「丸に五三桐(図版5)となるわけだ。

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図版4:五三桐   図版5:丸に五三桐

家紋の表現の一つに「持合(もちあい)」というものがある。
モチーフとモチーフを繋げる、一部を共有させるなどの場合に使う表現である。
例えば「持合麻の葉(図版6)」や「持合四つ七宝花角(図版7)」などがこれにあたる。
つまり図版2の紋は紋名のどこかに「持合」を入れるべきものではないだろうか。
「持合丸に二つ引」「丸に持合二つ引」などなど。
しかしこれらの紋名だと更なる違和感があるとともにイメージし辛いのが現実だろう。
恐らく「名付けようがない」「そこまで拘っていない」「あくまでも通称」などの理由だろう。
「~の内」とすることで、差別化を行い、これを解決させたように思える。

6.jpg 7.jpg
図版6:持合麻の葉   図版7:持合四つ七宝花角

紋名の統一は不可能である
紋だけがずらずらと並んだ書物を「紋帖(もんちょう)」という。
紋帖が出現したのは江戸時代の中期頃である。
紋帖の出現とともに家紋がある程度の統一が行われるのであるが、それとともに紋名の統一化も徐々に始まってくる。
最も新しい紋帖は『平安紋鑑』である。これの初版は昭和十一年である。つまり紋の統一や紋名の統一の動きはこの時に終焉を迎えていると言えるのかもしれない。
この紋帖では様々な新しい試みが行われ、統一に近づくことが出来たものではあるが、それでも完璧な統一は出来ていない。
なぜ、出来ていないのか?
それは単純明快である。「統一は不可能」だからである。
家紋とは誰のものか?
それは「家」である。
紋に関わる業者や我々研究家よりもまずはその家。
紋名はその家で呼ばれている、呼ばれてきた名称こそがその紋の正確な紋名なのである。
紋帖や家紋辞典などに付けられている紋名とはあくまでも「一般的な名称」であり、「正しい紋名」というものは逆に言えば、存在しないのである。

私は家紋調査で様々な紋と出会う。
その紋たちは「名付けるのが難しい」ものから「名付けようのない紋」まで様々だ。
「この紋を使っている家ではどんな名称で呼ばれているのだろう?」
そんな思いを馳せながら、私は私の会(京都家紋研究会)の仲間たちとともに日々、語らっている。
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2011-04-06

「黒地」と「白地」

インターネットで家紋を見ていると「黒地」や「白地」の画像で見かけることだろう。
比較的多いのは「白地」のように思える。

具体的にイメージ出来ないかもしれないので、
ここは我が家の紋に登場して貰おう。

うちの家紋は「割梅鉢」。
これは梅鉢の「中央をくり抜く」という「割」という変化方法を用いた紋章。
少し話しはそれるが、私の先祖(どの代かは不明だが)は奈良の森本町の出ということだけが分かっている。
我が家には菅原道真の肖像画が伝えられているが、決して菅原氏の出ではなく、あくまでも奈良県の菅原神社ほぼ隣に位置する喜光寺(旧菅原寺)の檀家であったのであろうと推測している。
つまり檀家として家紋を梅に縁のあるものにしたのであろう。

割り梅鉢(白黒)


本題に戻す。

図版を見て頂くと分かるように、左が「黒地」で右が「白地」である。
私のように呉服関連業界の者や一世代前の方から見ると左の「黒地」が一般的に思えるのでは無いだろうか?

紋帖の中身を見て頂こう。

紋帖『紋尽くし』(桐の頁)


これは紋帖『紋尽くし』である。(大宮華紋森本の家紋研究で仕様した写真を流用)
現在の紋帖全てがこのように「黒地」で統一されている。
紋帖は元々「素描」で描かれていたのだが、現在の紋帖の基礎となった『紋かがみ』以降がこの形となった。
ちなみに素描とは線描きのことである。
紋は線描きで構成されている。
「黒地」はその周りを黒く塗りつぶしたものである。当然背景となる箇所も黒く塗りつぶされる。

一方「白地」は「黒地」で描かれたものを完全に反転させたものだ。
家紋のそのほとんどの源流は「車紋」であるが、家紋が急激に増え出したのはいわゆる戦国時代の頃である。
この頃、は家紋よりも旗印の方が種類は多かったが、旗に旗印を入れる時は線描きで描かれず、面で描かれていた。
つまり現在の紋帖と反転した状態である。
この方法は印染め(袱紗や暖簾など)でも見られる。また墓石もこれだ。

では、何故紋帖は線描きのままで掲載されるのだろう?
その答えは非常に簡単なことである。「着物に入れるから」ということだ。

「黒地」とはいわば着物の生地と解釈して頂ければ分かるであろう。
明治期の長者番付では呉服業界の人間が数多くいた。
そのことからも分かるように呉服業界はとてつもなく儲かっていた。
つまり着物がよく売れていた。
紋帖を使う人の多くが呉服関連業者だったのである。

後、「黒地」でなければならないという紋もある。
その多くは「陰紋」だ。
「陰紋」を白地にしてしまうと、線が増え、非常にゴチャゴチャしたように見えるのだ。
陰紋は定紋を控えめにするという理由から発生し、着物に多くつけられ、その多くは「女紋」なのだ。


では、近年白地をよく見かけるようになった理由は何故だろうか?
冒頭でも書いたとおり、その多くはインターネット上で見かけることが多い。
それは単純に「家紋のデジタルデータの普及」に他ならない。
家紋のデジタルデータは「線書き」で書かれず、「面」でアウトラインが取られているのだ。
このデータを単純にjpgに変換して使っている。

余談だが、とあるメーカーの膨大な家紋の数を誇るデジタルデータが発売された当初は墓石屋に大変よく売れたそうである。



「黒地」と「白地」は使う用途によって異なると思う。
しかし子供の頃から紋帖を見慣れた自分としては「黒地派」であろう。

白地は印染め類などに多く使うことから、しっかりとした線が必要とされる。
黒地は着物類に入れることから繊細な線が必要とされる。
あくまでも私的な意見だが、黒地に描かれた紋が美しいと思う。
紋章上絵師によって描かれた繊細な紋は非常に美しい。

例えによく私は言うのだが、
デジタルデータは「ゴシック体」、紋帖は「明朝体」。

現在、執筆中の「家紋事典(仮)」では「黒地」で紋を掲載する予定だ。
約5000個の紋を掲載予定しているのだが、その多くはデジタルデータを使用する。
私は出来る限り、可能な限り、その「明朝体」を目指している。

データの修正、モノによっては全てイラストレーターでトレースする。
この作業だけで時間がどんどん奪われていくが、その紋のデザイン性の素晴らしさはやはり描いているとよく分かってくる。

さて、今回のブログはこれくらいにしてトレースの作業でもするとしますかな。


では、また。



※今回の内容はあくまでも私の主観です。
2011-04-04

家紋と新紋の定義

家紋と一体なんなのか。
苗字の目印といえば一番わかりやすいのではないだろうか?
家の紋章として一族に受け継がれていくという日本独特の文化。

家紋とはあくまでも「家」の紋のこと。
複数の紋を所持している場合、その家の代表の紋を「定紋」という。
別名を表紋、本紋、正紋とも呼ぶ。
この定紋以外は「替え紋」と称する。(副紋、裏紋、別紋、控え紋などの呼び名もあり)

定紋の基本的な考え方としては苗字と同じで良いと思われる。
ただし、分家などでは全く同じ紋を仕様するとは限らない。
本家と区別する意味で、付加(外枠などを付ける)したり、変化させたりする場合がある。

家紋は受け継がれて始めて「家紋」と呼ぶに相応しいと考えられる。
明治時代以降に現れた紋章を日本家紋研究会では「新紋」と表現している。
新紋についての定義も実際はまだ完全に確立されたものではない。
この定義も非常に難しく、
「新しい意匠(デザイン)であり、それを採用した人から二代以内である」
とし、昔から使われていたデザインに技法、つまり付加や変化(割、抱きなど)などを用い、紋帖などで確認されないものを作成しても、これを新紋とは称さない。
その理由は紋帖や日本家紋研究会やその他において発見されていないだけで、過去に存在した可能性もあるからである。
明らかに現代にしか見られないモチーフを取り入れたものは確実に新紋であるといえる。
この新紋は実際に紋帖にも掲載されているので十分に注意して頂きたい。
「新紋」は「洒落紋」「図案」「遊び紋」と称することもある。
私は新紋のことを「図案」と表現することが多い。
その理由は単純にそれらの紋が継承された記録が無いものであり、紋章上絵師による創作の紋である可能性が高いからである。
紋帖は継承されてきた紋ばかりが載るものではない。
紋帖はいわば「紋のカタログ」「紋のデザイン帳」とも言い換えることの出来るものなのだ。
人気の高い意匠、重要な意匠(皇族、公家、武将、名家など)を載せるほか、デザイン性に優れる意匠も載るのである。

※特に江戸時代の頃の紋帖には現代では見られないような「図案」が多く掲載される。干支を紋章化したものや風変わりなもので言えば「鬼」という項目まであったりする。アルファベットを紋章化した「オランダ紋」というものも。
いずれ本ブログにて紹介出来ればと思う。


新紋の定義から逆に考えると、家紋の定義は
「その意匠を採用した人から二代以降継承されたものを家紋とする」
といえるかもしれない。
つまり継承しないことには家紋としないということである。

ただ、これも我々研究者間での定義である。
その家がそれを「家紋」と言えば、それは「家紋」なのだ。

近年流行始めているが、自分だけの紋というものがある。
これの多くは「個紋(こもん:個人の紋)」「私紋(わたくしもん:自分の紋)などと言ったりする。
「個紋」とは非常に面白い表現であるが、これは会話などでの際に十分な注意が必要である。
何故かと言えば、
「こもん」という音にある。
会話の中で一般的に「こもん」と言うと、「小紋」を指すことが多い。
ゆえに話しがちぐはぐになり、互いの認識が違っているものになるという可能性がある。
個紋という名称を使う方は「自分だけの紋、個紋」とまず始めに言って頂いた方がトラブルを防げるであろう。


よくある質問がある。
「家紋を勝手に変えてもいいのでしょうか?」
というものだ。

回答は「変えても良い」である。
だがしかし、よく考えて頂きたい。
その家紋はどれくらい遡れるのであろうか?
何代も前の先祖から継承されてきたものではないだろうか?
先祖がその意匠にした理由は様々あるであろう。
思いは家紋という形で現代まで継承されているのである。
それを壊してまで変える必要性があるのであれば、変えてもいいかもしれない。
その際には家族や親族と十分な話し合いをして円満にして頂きたい。
それがお家騒動になるのであれば先祖は悲しむことだろう。



家紋研究会会長であり、私の師匠である高澤等氏のブログ「家紋の真実」において「家紋とは何か」というタイトルで家紋の定義について氏は書いておられます。
是非、こちらも読んでください。
http://blog.livedoor.jp/kiseki612/archives/187668.html
プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢


京都市在住。38歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
京都家紋研究会会長。日本家紋研究会理事。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。

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