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2011-04-08

蝙蝠紋

もう震災から約一ヶ月も経つんですね。
昨夜も大きな地震があり、まだまだ予断を許さない状況です。
様々な問題を抱えた我が国日本ですが、なんとかこの困難を乗り越えていきたいものです。

こちら京都は随分暖かくなってきました。
二条城の前を通ると付近の桜も咲いてますし、さぞや二条城内の桜を綺麗に咲いていることでしょう。
「桜」に紋について書きたくなる季節ですが、今回は全く違います。
まぁ、まだまだ花粉も飛んでますし、中国からの黄砂も酷いですね。
車がかなり黄色いですよ・・・。




暖かくなってきたということでそろそろ見かけるんじゃないかと思うのが蝙蝠。
夜になると街灯の周りにいる虫を狙ってよく飛んでる姿を見かけると思う。
っと、言うわけで随分前置きが長くなったが、本日のブログは「蝙蝠」について綴ることとしよう。

先に簡単ですが蝙蝠について説明しておく。

蝙蝠はコウモリ目(翼手目)に属する自力飛行が出来る唯一のほ乳類。
中国では「福が偏って来る」という「偏福」に通じるとして幸運の象徴とされ、それは意味は日本にも渡来し吉兆とされた。
「こうもり」の語源は「加波保利(かはほり)」といい、これが川を守る意の「川(河)守(かわもり)」に転化したといわれ、蝙蝠の字があてられたという。
一日に数百の小さな虫を食べることから、農作業の害虫から守ってくれる動物として別名を蚊喰鳥(かくいどり)という。


さて、これで分かって頂けたかと思うが、蝙蝠は吉兆で扱われる動物だ。
西洋ではその姿形の不気味さや吸血の種がいることから古来より忌み嫌われ現在不吉の象徴とされる。
ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」では、ルーマニアのトランシルバニアの串刺し王の異名を持つブラド・ツェペシュがそのモデルとし、トレードマークであるマントがコウモリが連想された。
そのイメージを逆に取り入れたものがアメコミのダークヒーロー『バットマン』であろう。
幾度となく映画化され、近年では『ダークナイト』が記憶に新しい。
ちなみに私も『バットマン』は好きで特にティム・バートンが監督したリメイクの『バットマン』に魅力を感じる。
この余談はさらに加速して少し方向性を見失うが、あえて書かせて欲しい。
日本で蝙蝠のイメージを持つものと言えばなにか?
私の父親くらいの世代となると『黄金バット』。
私の世代や現在40代くらいの方だと永井豪の『デビルマン』だろう。
主要キャラとしてのコウモリのキャラクターは他になにかあっただろうか?
特撮ものなどでは敵(怪人など)として見かけるが・・・。
ちなみに以前webサイト「大宮華紋森本」内の「家紋研究」で「蝙蝠紋」について掲載したことがある。
その際、「デビルマンの紋」を掲載したことがある。この紋については下記URLより見て頂きたい。

http://omiyakamon.co.jp/kamon/koumori/02.html

これは「デビルマン」をこよなく愛する私が父に依頼して頼んだものだ。
このデビルマンのシルエットは『デビルマン』の続編である『バイオレンスジャック』の物語後半で見られるものを採用した。
あえて紋名をつけるのであれば「月に悪魔男」といったところであろうか。


さて、このように世界の多くで不吉の象徴とされるコウモリを吉兆とする我が国であるが、「吉兆」と言っているわりには文様は非常に少ない。
蝙蝠文様の元祖である中国では様々なもので文様は見られる。
私が多く見かけるなと思うのは主に陶器をはじめとする焼き物ではないだろうか。
日本では江戸後期に歌舞伎役者七代目市川團十郎が蝙蝠の柄を流行らせた。
実際に舞台衣装に蝙蝠の文様を飛ばせるなどしていたのだ。

インターネットや様々な家紋の書籍を読むと極まれではあるが、この七代目「市川團十郎」が蝙蝠の柄を流行らせ、「蝙蝠紋を替え紋」とした、という記述を見かけることがある。
ところがいくら調べても市川團十郎が使用した蝙蝠の替え紋というものは一切見つからないのだ。
らちがあかないと判断した私は市川團十郎事務所に直接メールで問い合わせたことがある。
その答えは
「市川團十郎家の家紋はあくまで三升、掘越家の家紋は近衛牡丹、それを簡略化して舞台で使うようにした替え紋が杏葉牡丹、これしかありません」
とのことだった。
蝙蝠は柄だけであるということであった。

『日本紋章学』に沼田頼輔氏が「市川團十郎が蝙蝠文様を流行らせた」と書いたことを勘違いして、書いた方がおられるのではないだろうか、と安易に推測しておく。

では肝心の蝙蝠紋を使用されたのかどうかということについて触れておく。

文献では中国から帰化した張季明の後胤の山本氏が唯一載る。しかし図案がどのような形状か定かではないのである。
このことからも蝙蝠紋は大変稀少であるといえる。
紋帖にはいくつか載るがそれを山本氏が使用したのかどうかは分からない。
※蝙蝠紋は下記URLよりご覧下さい。
http://omiyakamon.co.jp/kamon/koumori/03.html
http://omiyakamon.co.jp/kamon/koumori/07.html


家紋では無いが他に「紋」のような形状をしているもののいくつかをご紹介しておく。

【福砂屋】
カステラ屋の福砂屋が屋号として使用する。
詳しくは下記URLより。
http://www.castella.co.jp/fukusaya/fuku4.shtml

【福山市の市章】
広島県福山市が市章として使用する。福山城がある蝙蝠山にちなんだ。
詳しくは下記URLより。
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/hishokoho/profile/
ちなみに福山市は「バラの町」としてアピールしているため、薔薇をモチーフにしたシンボルマークに統一するという話しが出ているそうだ。蝙蝠を不吉と考える方が多いためか、対立し議論を巻き起こしているという。
蝙蝠の意味がしっかりと浸透していないのだろう。

【旧日本石油の社章】
旧日本石油の社章は蝙蝠をモチーフとした。
森本景一著書の『家紋を探る』ではこの社章を掲載したが今手元に画像が無いので下記URLで確認して頂きたい。
http://www.yutaka-shokai.co.jp/since1924/2_06.html


さて、我が社(染色補正森本)では今までに多く「月に蝙蝠」を紋入れしてきた。
「月に蝙蝠」とは紋帖『平安紋鑑』に唯一載るものである。
これは家紋として使用された記録は無く、恐らく図案、洒落紋として掲載されてたものであろう。
『平安紋鑑』以前の紋帖にも載らず、古い文献などにも載らず、また似た形状の文様も見つからない。
この紋では蝙蝠は写実的に描かれているため、近代期に創作されたものには違いないであろう。
『平安紋鑑』の初版にも掲載されていることから、これは当時の京都の紋章組合(上絵師の組合)のどなたかが創作されたものなのであろう。
私自身、家紋以外での紋章として一番好きな紋であることは間違いない。
洗練されたデザイン性は今も尚色あせることなく、紋帖の中から飛び出し、様々なところに飛び立っている。

Tシャツへのデザインなども見かけることがある。
次世代では家紋として採用される方も現れ、墓石にも見られる日が来るのであろうか。

月に蝙蝠



※現在執筆中の事典では、紋帖において月、桐、柏に掲載される図案全てを蝙蝠紋としてまとめさせて頂いている。

ARK@鵺遊
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プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢


京都市在住。38歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
京都家紋研究会会長。日本家紋研究会理事。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。

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