講演会にて。はじめて人前で話した

9/18(日)に観世流能楽師片山伸吾氏がナビゲーターを努める「紬の会」で私の父、森本景一が講演を行いました。
会場は京都芸術センターでした。
片山伸吾氏が質問などをして、答えていったりするような問答形式。
ご来場して下さったお客様の反応も大変良かったように思えます。

何故、着物の地直し屋、言い換えると着物ドクターが家紋に興味を抱いていったのか?
これを軸に話しは進められていきました。
家紋の話しから、「女紋」の話しへ。

女紋というものは主に西日本に根付くいわば慣習的なことです。
一般的に「女紋」というとサイズのことを示すことが多いです。
それは男性が付ける紋のサイズと女性が付ける紋のサイズが異なるためです。
しかしここでいう「女紋」とはサイズのことではありません。

女紋は全国に存在していますが、その名称や扱いなどは地域によって様々です。
関西では女性に代々受け継がれていくというもので、これを母系紋といいます。
母系紋は母譲りの紋、母の紋など家々によっても言い方は異なります。
女紋の発祥は武家からといわれ、東北より発祥したとも言われます。
娘が嫁ぐ際に自分の家の紋を道具に入れ持たせたことに始まります。
これは「戻っても大丈夫」、つまり離婚を視野にいれたものです。
嫁いだ後に何らかの形で離婚となって、嫁入り道具を取られないように、持ち帰ることが出来るように紋を入れておくとしました。
この習慣はいつしか武家では廃れたようですが、その習慣は商人へ受け継がれ、関西を中心として、商家に広まりました。
かつての商家では女性が財布を握っていたため、より才のある男性を婿に招くという女性系統でした。
そのため、母から娘へ、そして孫娘へと受け継がれる女紋が定着することとなったのです。



っと、まぁ、こんな話しを父はしたわけです。

先日、片山伸吾氏が当社へお越しになり、今回の打ち合わせに来られたのですが、その時の話しで、私も参加するという話しになりました。
人前で話すことなんてほとんど経験が無いし、何より自分は「あがり症」であり、「赤面症」です。
頭が真っ白になって何を話せばいいか分からなくなったりします。
こんな自分で大丈夫なのだろうか、と不安でしたが。。。

まぁ、そんなこんなで親父の講演は全部で2時間(ちょっとオーバーしたかも?)だったのですが、
最後に「質問」ということで、客席にいた自分が紹介され、そのまま家紋に関する質問を受けることになりました。

いずれの質問も非常に難しい質問だったのでお応えするのに大変でした。

「引き両紋」「家紋でルーツが分かるのか?」「寺や神社の紋はいつから?」

これらのことにお応えしましたが、非常に難しいですね。
予想したとおり一瞬頭が真っ白になって大変でした。

講演会で感じたのはやはり普段は口に出したりしないですが、やはりどの方も「家紋に対する興味」というものはあるようですね。
そして「家のルーツ」を知りたいと思っておられます。
家紋からだけではその発祥を突き止めることはほぼ不可能です。

苗字、出身地、家紋

最低でもこの三つが分からないとどうにもこうにもありません。
後はその家に伝わっている家に関する事柄。
しかしだからといって全てが分かることではありません。
分かる場合もあれば、分からない場合もある。
可能性を示すことも出来れば、それも出来ないことがある。
場合によっては寺の過去帳以前のことも分かることもありますが、それは全ての家に言えることではありません。
そしてここが一番重要なのですが、
場合によっては家に伝わる事柄と異なる事実が出てくる場合があります。
例えば「○○氏の血を引いている」とされていても、
実際に調べてみると全く関係が無かった、というケースもあり得るのです。



さて、講演はそれなりの盛況で終えることが出来ました。
この後、片山さんが一席を設けて下さるということで、私もお声を掛けて頂き、便乗することとなりました。

この後は色々と面白いことがありましたが、それはまた別の話。


それではまた。
ARK@遊鵺


PS.
mixiでアップした日記を簡略し掲載しました。
後日編集する可能性がございます。
写真などもその時に追加?かも。
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プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢
京都市在住。41歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
一般社団法人京都家紋協会代表。
京都家紋研究会会長。
日本家紋研究会副会長。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。
ご連絡はFacebook、Twitter、Instagramなどからお願いします。

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