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2014-02-07

今、家紋ブームが来ている 現代家紋とは?

今現在、「家紋」がにわかなブームになっているようだ。
家紋研究家、家紋伝道師を名乗っている私にとって非常に喜ばしいことである。


歴史ブーム
ここ数年、歴史ブームである。
戦国武将、幕末志士。
昨年は伊勢神宮、出雲大社の式年遷宮が重なったこともあって、『古事記』『日本書紀』などの記紀神話がブームであり、八百万の神々もフューチャーされている。
それに関連するように古代豪族もまたブームも一つである。
これらの影響、特に戦国武将の影響で「家紋」についての認知がここ数年深まっている。


Twitterにおける「家紋」の話題が近年増えている
私はここ数年、Twitterで不定期ではあるが「家紋」のキーワードで検索している。
数年前まではこれといって家紋で引っかかるツイートは非常に少なかった。
あっても家紋グッズを販売する業者や家紋に関わる業者のツイート程度。
家紋の話題が上がっていても「戦国武将○○の家紋は○○」といった程度のものばかり。

しかしここ最近(2年内くらい?)、徐々「家紋」を含むツイートが急
増しているのである。
今までは「戦国武将」などから付随する形でのツイートが主だったのに対し、近年は「家紋」そのものが話題に上がっていることが増えてきているのだ。

「墓石に入れる家紋を自分で決めたけどこれで良かったのか?」
このような内容のツイートもあり反響を呼んでいる。
この墓石に入れられた家紋は「丸に三つ鱗」紋であった。


余談:三つ鱗紋とトライフォース
この形状はTVゲームの任天堂の名作シリーズである「ゼルダの伝説」にトライフォースという名で登場する紋章である。
※詳しくはwikipediaのトライフォースの頁を読んで下さい。

これはあくまでも「三つ鱗」という家紋にヒント得て用いられた紋章のため、家紋の三つ鱗とも関係なければ、北條(北条)氏とも何の関係もありません。
因みに北条氏の家紋として用いられる三つ鱗紋は「北条鱗」という紋名で紋帖や家紋事典、家紋図鑑などでも掲載されている。
もちろん著書『日本の家紋大事典』にも掲載している。
鱗紋の基本形はこの三つ鱗であり、北条氏の鱗紋は少々ひしゃげた印象のものである。


鱗紋とは何か?
そもそも「鱗紋が何か?」ということだが、これは先日染色補正森本公式サイト内の「家紋研究」に「雨乞い象徴紋 成長の瑞龍「雨龍」」というタイトルで「雨龍紋」について書かせて頂いたがこの鱗紋のころも少し触れている。

鱗紋は定説では「龍、もしくは蛇の鱗を意匠化したもの」といわれる。
また、奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)の山である三輪山(みわやま)を象ったものではないか?という説も存在する。
元々は家紋としてではなく、文様として用いられていたもので、実は古代から存在している。
古代遺跡の壁画などにもこの三つ鱗のようなものが描かれているものがある。
これが鱗紋の発祥かもしれないが、家紋の鱗紋との関係性は明らかではない。

mittuuroko.jpg
三つ鱗

houjouuroko.jpg
北条家鱗


ももいろクローバーZ
話が逸れてしまったが、他も今の家紋のブームの火付け役になっているものがある。
それは「週末ヒロイン ももいろクローバーZ(以下ももクロ)」である。
ももクロのロゴに四つの桃をあしらったものがある。
これが通称「ももクロ家紋」と呼ばれ、若い世代にも人気であり、「家紋」という名称が認知されるきっかけの一つにもなっているようだ。

momokuro.png
ももクロ家紋


雑誌による家紋の特集
また、昨年の11月頃に発売された「歴史人」の存在も大きいだろう。
『歴史人』2013年3月号「戦国武将の家紋の真実」。
『一個人』2014年12月号「日本の名字と家紋の謎」。
この二つは売れ行きがかなり好評で、いずれも即完売したようだ。
さらにこの二冊は再版までされている。
いずれも「家紋シール」のオマケ付きであり、家紋好きにはたまらない。


「#現代家紋」と家紋の簡単な歴史
そして今日(2/7)知ったのだが、Twitterで「#現代家紋」というハッシュで、様々なオリジナルの紋が投稿されていたのである。
それは「見たことあるあのマークを家紋に 「#現代家紋」http://togetter.com/li/626232などでまとめられている。
私がこれについて多く語る必要はない。
まずはリンク先をご覧頂きたい。

多くが「ロゴのような」ものでしかないが、いくつかは紋を理解して作成されている方もおられるようで、なかなか興味深いものもある。
家紋の発祥は平安後期の御所車(牛車)に付けられた紋章、今で言うナンバープレートのようなものから始まる。
これを「車紋(くるまもん)」という。
この車紋はやがて、個人の紋章となり、継承される特性を持つようになる。
そしてこれは公家全体に広がり、貴族階級に広がっていく。
さらに武家に広がりをみせ、江戸時代の頃には庶民にまで浸透していく。
紋の意匠の基本は江戸時代の初期頃には完全に確立される。
紋章上絵師の登場がこの頃である。今でいう、紋章上絵師はかつては「紋師」などと呼ばれ、紋そのものをデザインすることも多かった。
今で言うロゴデザイナーのようなものであろうか。
また、紋師だけではなく、絵師によるデザインも多かったようである。
江戸時代に「割付」という紋を描くルールが生まれた。
これは「ルールさえ分かっていれば、日本全国どこでも同じ紋が描ける」ということに繋がっていくためである。
つまり紋を描く需要が一気に高まったことを示している。
紋の形は江戸時代に最も発展したといえる。
この江戸時代に完成された紋は様々な形(実際に施された物や文献など)で現代に伝わってきているのである。

家紋は長い年月をかけて完成されたもの。
その素晴らしいデザインは現代でも色あせることがない。
しかしこの紋も江戸時代にすでにパロディー化されているのである。

江戸時代の文献に『新選紋所帳』(天保四年/1833年)という文献がある。
作者は山東京伝とされるもの。
これは当時の風刺などを紋の形状でパロディー化したものである。
この感覚に非常に近いものだと思った。


家紋とは何か
私は冒頭でも少し書いたが、これは非常に喜ばしいことだと考えている。
「家紋とはなにか?」
基本的な家紋の概念とは全く性質の違うものであるが、家紋に対して興味を持って頂けること自体、素晴らしいこと。
家紋とは読んで字の如く「家の紋」のことである。
厳密にいえば、「自分だけの紋」は家紋とはいわない。
「家の象徴の印」それがあくまでも家紋の定義であり、さらに「継承される」という特性がなければ、家紋としては成立しない。
堅っ苦しい言い方をすればこのハッシュタグである「現代家紋」という言い方は間違っている。
とはいえ、現代人は「家紋」というものを知らない方が非常に多い。
「家紋」が必要なくなった時代になってもう長い訳だから、致し方ないのかもしれない。
しかし家紋の歴史は千年という長い期間継承されてきている。
元々は文様だったものが一点の紋というデザインに集約され、デザインだけではなく、意味や意義を混め、継承していくもの、それが家紋。

今回取り上げた「現代家紋」で紋を楽しむのいい。むしろ大いに楽しんで欲しい。
でも、これをきっかけに自分の家の紋を知らない人はこれをきっかけに知って欲しいです。
そして次の世代に繋げて欲しいです。
これが私の願いです。




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プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢


京都市在住。38歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
京都家紋研究会会長。日本家紋研究会理事。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。

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