オランダ紋

かつてオランダ紋というものが存在した。
これはアルファベットの筆記体を家紋風に意匠化したものだ。
江戸時代の紋帖を捲るとしばしば見られる。

実際に家紋として使用されたものではない。
紋章上絵師が描いたアルファベットは美しくどこか艶めかしい。
紋帖では各項目の頭に使われていることが多い。
例えば梅であれば、当時は「むめ」と発音したため、「mume」と筆記体で描かれている。
mume

この図版の下に「梅」の紋が載る。
今回引用した紋帖では下記画像のようにオランダ紋が並んでいる。
オランダ紋


家紋として使用されなかったせいか明治以降の紋帖では姿を消している。
また家紋に関する書籍類でもほとんど語られることがない。
しかし家紋と同じ制約の元に描かれたオランダ紋は現代のレタリングに通じるといえよう。

以前、とある会社のロゴにこのオランダ紋を取り入れたことがある。
家紋として使用するのは難しいかもしれないが、様々な分野のデザインに取り入れるのも面白い試みといえよう。
また、家紋は海外での評価が非常に高い。
海外の方への贈り物にこのオランダ紋をデザインしたものは喜ばれるかもしれない。


ARK@遊鵺
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プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢
京都市在住。41歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
一般社団法人京都家紋協会代表。
京都家紋研究会会長。
日本家紋研究会副会長。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。
ご連絡はFacebook、Twitter、Instagramなどからお願いします。

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