祇園守 ~ステキな紋との出会い~

祇園守紋は、祇園神社、現在の八坂神社が配布するお守りを象った紋章である。

八坂神社といえば祇園祭や素戔嗚尊(すさのおのみこと)、五瓜に唐花などが連想されるだろう。
しかし今回のエントリーでは要約させて頂く。

この祇園守り紋のベースは主に銀杏であると言われる。
中央には交差させた蘇民将来符(参拝者に授ける護符)である牛頭天王之祭文(ごずてんのうのさいもん)であるという。
交差する中央の元は札であったものが、筒となり、その後巻物となった。

また、銀杏は祇園祭の粽(ちまき)を象ったものであると思われる。
またキリスト教を信仰する諸氏に使用が多く、中央に描かれる牛頭天王之祭文を久留須に見立てた。
中でも代表的なのが立花宗茂である。

因みに紋帖では守(まもり)紋と称される。

祇園守
祇園守
※他にも数多くの意匠がありますが、今回は割合させて頂きます。



さて、先日、京都市上京区にある慧光寺(えこうじ)というお寺さんへ行ってきました。
場所は浄福寺と智恵光院の間?辺りに位置します。
慧光寺周辺地図

ここでとてもステキな紋に出会いました。

いい年こいたおっさんが思わず

「かわいい・・・」

と呟いてしまった紋です。


それがこれです。

祇園守に桔梗

即、「銀杏紋」と判断しました。
しかしこの写真を師匠(高澤等氏)に見せると「祇園守りだね」と判断して頂きました。
そう言われてみると確かにそうだと思いました。
蘇民将来符こそ無いですが祇園守りに違いありません。
師匠は「祇園守りは粽である」という説を立てておられます。
確かにそうなのであろうと私も思うのですが、
この紋の原型は兎も角として、銀杏を示しているようにしか思えないです。

その決定的な理由があります。
それはこのお寺さんにある神木の「銀杏」の存在です。
大人三人ほどでようやく囲めるほどの太く神々しい銀杏でした。
つまりこの銀杏をモチーフとした紋ではないか、ということです。

銀杏

ネットで調べた限りでは創建は室町時代末期の天文年間(1532~15)で、現在の場所には天正年間(1573~93)にうつったそうで、さらに江戸の享保十五年(1730)に火災に遭っています。

ちなみにこの祇園守りの紋が入っている墓が建ったのは天保9年(1838)。
果たしてあの銀杏の大きさはどれほどのものだったのでしょうか・・・。

祇園守りを意識した銀杏の紋であると私は思いたいですね。
因みにこの墓に刻まれた名字の氏族には「桔梗」「祇園守」「銀杏」の使用は確認出来ませんでした。
私はとりあえずこの紋に「祇園守に桔梗」と名付けました。
真意は不明ですがこの紋の意匠が大好きです。

慧光寺についてはこちらのブログが詳しく、銀杏の写真も綺麗です。オススメです。
http://blogs.yahoo.co.jp/hiropi1700/3421701.html


ARK@遊鵺
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プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢
京都市在住。41歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
一般社団法人京都家紋協会代表。
京都家紋研究会会長。
日本家紋研究会副会長。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。
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