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2011-04-06

「黒地」と「白地」

インターネットで家紋を見ていると「黒地」や「白地」の画像で見かけることだろう。
比較的多いのは「白地」のように思える。

具体的にイメージ出来ないかもしれないので、
ここは我が家の紋に登場して貰おう。

うちの家紋は「割梅鉢」。
これは梅鉢の「中央をくり抜く」という「割」という変化方法を用いた紋章。
少し話しはそれるが、私の先祖(どの代かは不明だが)は奈良の森本町の出ということだけが分かっている。
我が家には菅原道真の肖像画が伝えられているが、決して菅原氏の出ではなく、あくまでも奈良県の菅原神社ほぼ隣に位置する喜光寺(旧菅原寺)の檀家であったのであろうと推測している。
つまり檀家として家紋を梅に縁のあるものにしたのであろう。

割り梅鉢(白黒)


本題に戻す。

図版を見て頂くと分かるように、左が「黒地」で右が「白地」である。
私のように呉服関連業界の者や一世代前の方から見ると左の「黒地」が一般的に思えるのでは無いだろうか?

紋帖の中身を見て頂こう。

紋帖『紋尽くし』(桐の頁)


これは紋帖『紋尽くし』である。(大宮華紋森本の家紋研究で仕様した写真を流用)
現在の紋帖全てがこのように「黒地」で統一されている。
紋帖は元々「素描」で描かれていたのだが、現在の紋帖の基礎となった『紋かがみ』以降がこの形となった。
ちなみに素描とは線描きのことである。
紋は線描きで構成されている。
「黒地」はその周りを黒く塗りつぶしたものである。当然背景となる箇所も黒く塗りつぶされる。

一方「白地」は「黒地」で描かれたものを完全に反転させたものだ。
家紋のそのほとんどの源流は「車紋」であるが、家紋が急激に増え出したのはいわゆる戦国時代の頃である。
この頃、は家紋よりも旗印の方が種類は多かったが、旗に旗印を入れる時は線描きで描かれず、面で描かれていた。
つまり現在の紋帖と反転した状態である。
この方法は印染め(袱紗や暖簾など)でも見られる。また墓石もこれだ。

では、何故紋帖は線描きのままで掲載されるのだろう?
その答えは非常に簡単なことである。「着物に入れるから」ということだ。

「黒地」とはいわば着物の生地と解釈して頂ければ分かるであろう。
明治期の長者番付では呉服業界の人間が数多くいた。
そのことからも分かるように呉服業界はとてつもなく儲かっていた。
つまり着物がよく売れていた。
紋帖を使う人の多くが呉服関連業者だったのである。

後、「黒地」でなければならないという紋もある。
その多くは「陰紋」だ。
「陰紋」を白地にしてしまうと、線が増え、非常にゴチャゴチャしたように見えるのだ。
陰紋は定紋を控えめにするという理由から発生し、着物に多くつけられ、その多くは「女紋」なのだ。


では、近年白地をよく見かけるようになった理由は何故だろうか?
冒頭でも書いたとおり、その多くはインターネット上で見かけることが多い。
それは単純に「家紋のデジタルデータの普及」に他ならない。
家紋のデジタルデータは「線書き」で書かれず、「面」でアウトラインが取られているのだ。
このデータを単純にjpgに変換して使っている。

余談だが、とあるメーカーの膨大な家紋の数を誇るデジタルデータが発売された当初は墓石屋に大変よく売れたそうである。



「黒地」と「白地」は使う用途によって異なると思う。
しかし子供の頃から紋帖を見慣れた自分としては「黒地派」であろう。

白地は印染め類などに多く使うことから、しっかりとした線が必要とされる。
黒地は着物類に入れることから繊細な線が必要とされる。
あくまでも私的な意見だが、黒地に描かれた紋が美しいと思う。
紋章上絵師によって描かれた繊細な紋は非常に美しい。

例えによく私は言うのだが、
デジタルデータは「ゴシック体」、紋帖は「明朝体」。

現在、執筆中の「家紋事典(仮)」では「黒地」で紋を掲載する予定だ。
約5000個の紋を掲載予定しているのだが、その多くはデジタルデータを使用する。
私は出来る限り、可能な限り、その「明朝体」を目指している。

データの修正、モノによっては全てイラストレーターでトレースする。
この作業だけで時間がどんどん奪われていくが、その紋のデザイン性の素晴らしさはやはり描いているとよく分かってくる。

さて、今回のブログはこれくらいにしてトレースの作業でもするとしますかな。


では、また。



※今回の内容はあくまでも私の主観です。
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はじめまして

リンク有難うございました。こちらも遅がけながらリンクさせていただきました。

おっしゃる通りネットでは白地への紋がほとんどですね~
私の主観ですが、白地紋は黒字紋の反転形ではないと思います。
反転と思われるから、陰紋の反転形が出来ないのです。

元々紋は幟などに描かれた白地紋(私どもは刷込み紋と呼んでます)でしたが、紋付に描かれれるようになると、黒字紋(上絵紋)の描き方になりました。
ところが、最近ネットに掲載される紋は、紋帖に掲載されている黒地紋を参考にして、単純に反転して作られています。ですから見た目では線が異常に細い。(実際墓石紋などにする場合太く加工出来るようになっているかもしれませんが)これでは、この原稿を使って紋入れした場合、線は染みて弱い線しか出ません。
私どもは、白地紋(刷り込み紋)を作る場合、線は紋の大きさによって且つ紋全体のバランスを考えて太さを決め、森本さんが描かれるより太く描くようにしています。

これは、あくまで実際に紋入れをしている紋やの考えですが、ご参考になればと、書かせていただきました。

中岡の紋ですが、私も以前張り紋で作った事がありましたが、少々形が違ってました。綿の実が割れた紋だという事は、同意見です。

コメントありがとうございます!

> 紋ちゃんさま

コメントありがとうございます!

紋章上絵師からのご説明、大変わかりやすく助かります!
確かにおっしゃるように正確な反転ではないですね。
もちろん私も呉服業界の人間ですし、
染色補正師ですので、擦り込み紋も上絵も知ってます。
このエントリーではたまたま使ってませんでした・・・orz

なんだか言い訳みたいになっちゃってすみません。

今までも何度か図鑑用に紋形をトレースするとき、上絵師の方に相談したことがありますが、やはり上絵師の方は凄いですね。
紋ちゃん様にもご相談することが今後あるかも知れませんが、その時はどうかよろしくお願い致します。
プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢


京都市在住。38歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
京都家紋研究会会長。日本家紋研究会理事。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。

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