紋名について考える
少しずつブログ復活させていきます!
紋名とは
紋名とはその文字の如くの意味であり、紋の名称のことである。
紋、いわゆる家紋の面白さはその形状もさることながら、紋名にもある。
大半の紋名はその紋の形状をそのまま示していることが多く、正確な紋名を聞くだけで、大まかな紋の形状を想像することが出来る。
例外的なものは「○○家」と付く紋名や特定の名称が付けられた紋名は多々ある。
紋名のルール
あくまで基本的なことであり、必ずしも絶対ではないが、紋名にはルールが存在する。
例えば、図版に挙げた「丸に五瓜に三つ地紙(まるにごかにみっつじがみ)(図版1)」だが、家紋の外側から内側に向かっての順で名付けられているのがお分かり頂けると思う。
この紋の場合は三つパーツで構成される。
紋に色を入れたので、色で簡単に説明しよう。

図版1:丸に五瓜に三つ地紙
1)赤:「丸」は「丸輪」の略称。外枠の代表である。
家紋に用いられる場合は「堀」や「領土」や「日(太陽)」を示すともいわれる。
屋号の印として用いられる場合は「反物」を示す。反物を横から見た様子を象ったといわれる。
2)青:「五瓜」は「五瓜輪」の略称。五瓜輪は「瓜(か)」と呼ばれるパーツ(濃い青:外側)と「鐶(かん)」と呼ばれるパーツ(薄い青:内側)の二つで構成される。
希に「鐶」がない紋もあるが、その場合は「一重五瓜(ひとえごか)」と呼ぶ。
3)黄:「三つ地紙」。紋名に「三つ」と付く場合は通常この形状のように、回転させる。また、この形状は「尻合わせ」と付く場合もある。
違和感のある紋名
一般的によく使われる紋名だが、違和感があるものがいくつかある。
中でも私がいつも違和感にあるのは「丸に二つ引」や「丸に三つ引」である。
「丸に二つ引(図版2)」紋は図版にあるようなものを指す。
「丸の内に二つ引(図版3)」紋は図版にあるようなものを指す。
「紋名のルール」でも述べた通り、丸輪は外枠として用いられるわけだから、紋名のルールに則ると「図版3」の紋の名称こそが「丸に二つ引」となるはずである。

図版2:丸に二つ引 図版3:丸の内に二つ引
例えば、貸衣装などでもよく見かける「五三桐(図版4)」に丸輪を付けると「丸に五三桐(図版5)となるわけだ。

図版4:五三桐 図版5:丸に五三桐
家紋の表現の一つに「持合(もちあい)」というものがある。
モチーフとモチーフを繋げる、一部を共有させるなどの場合に使う表現である。
例えば「持合麻の葉(図版6)」や「持合四つ七宝花角(図版7)」などがこれにあたる。
つまり図版2の紋は紋名のどこかに「持合」を入れるべきものではないだろうか。
「持合丸に二つ引」「丸に持合二つ引」などなど。
しかしこれらの紋名だと更なる違和感があるとともにイメージし辛いのが現実だろう。
恐らく「名付けようがない」「そこまで拘っていない」「あくまでも通称」などの理由だろう。
「~の内」とすることで、差別化を行い、これを解決させたように思える。

図版6:持合麻の葉 図版7:持合四つ七宝花角
紋名の統一は不可能である
紋だけがずらずらと並んだ書物を「紋帖(もんちょう)」という。
紋帖が出現したのは江戸時代の中期頃である。
紋帖の出現とともに家紋がある程度の統一が行われるのであるが、それとともに紋名の統一化も徐々に始まってくる。
最も新しい紋帖は『平安紋鑑』である。これの初版は昭和十一年である。つまり紋の統一や紋名の統一の動きはこの時に終焉を迎えていると言えるのかもしれない。
この紋帖では様々な新しい試みが行われ、統一に近づくことが出来たものではあるが、それでも完璧な統一は出来ていない。
なぜ、出来ていないのか?
それは単純明快である。「統一は不可能」だからである。
家紋とは誰のものか?
それは「家」である。
紋に関わる業者や我々研究家よりもまずはその家。
紋名はその家で呼ばれている、呼ばれてきた名称こそがその紋の正確な紋名なのである。
紋帖や家紋辞典などに付けられている紋名とはあくまでも「一般的な名称」であり、「正しい紋名」というものは逆に言えば、存在しないのである。
私は家紋調査で様々な紋と出会う。
その紋たちは「名付けるのが難しい」ものから「名付けようのない紋」まで様々だ。
「この紋を使っている家ではどんな名称で呼ばれているのだろう?」
そんな思いを馳せながら、私は私の会(京都家紋研究会)の仲間たちとともに日々、語らっている。
紋名とは
紋名とはその文字の如くの意味であり、紋の名称のことである。
紋、いわゆる家紋の面白さはその形状もさることながら、紋名にもある。
大半の紋名はその紋の形状をそのまま示していることが多く、正確な紋名を聞くだけで、大まかな紋の形状を想像することが出来る。
例外的なものは「○○家」と付く紋名や特定の名称が付けられた紋名は多々ある。
紋名のルール
あくまで基本的なことであり、必ずしも絶対ではないが、紋名にはルールが存在する。
例えば、図版に挙げた「丸に五瓜に三つ地紙(まるにごかにみっつじがみ)(図版1)」だが、家紋の外側から内側に向かっての順で名付けられているのがお分かり頂けると思う。
この紋の場合は三つパーツで構成される。
紋に色を入れたので、色で簡単に説明しよう。

図版1:丸に五瓜に三つ地紙
1)赤:「丸」は「丸輪」の略称。外枠の代表である。
家紋に用いられる場合は「堀」や「領土」や「日(太陽)」を示すともいわれる。
屋号の印として用いられる場合は「反物」を示す。反物を横から見た様子を象ったといわれる。
2)青:「五瓜」は「五瓜輪」の略称。五瓜輪は「瓜(か)」と呼ばれるパーツ(濃い青:外側)と「鐶(かん)」と呼ばれるパーツ(薄い青:内側)の二つで構成される。
希に「鐶」がない紋もあるが、その場合は「一重五瓜(ひとえごか)」と呼ぶ。
3)黄:「三つ地紙」。紋名に「三つ」と付く場合は通常この形状のように、回転させる。また、この形状は「尻合わせ」と付く場合もある。
違和感のある紋名
一般的によく使われる紋名だが、違和感があるものがいくつかある。
中でも私がいつも違和感にあるのは「丸に二つ引」や「丸に三つ引」である。
「丸に二つ引(図版2)」紋は図版にあるようなものを指す。
「丸の内に二つ引(図版3)」紋は図版にあるようなものを指す。
「紋名のルール」でも述べた通り、丸輪は外枠として用いられるわけだから、紋名のルールに則ると「図版3」の紋の名称こそが「丸に二つ引」となるはずである。


図版2:丸に二つ引 図版3:丸の内に二つ引
例えば、貸衣装などでもよく見かける「五三桐(図版4)」に丸輪を付けると「丸に五三桐(図版5)となるわけだ。


図版4:五三桐 図版5:丸に五三桐
家紋の表現の一つに「持合(もちあい)」というものがある。
モチーフとモチーフを繋げる、一部を共有させるなどの場合に使う表現である。
例えば「持合麻の葉(図版6)」や「持合四つ七宝花角(図版7)」などがこれにあたる。
つまり図版2の紋は紋名のどこかに「持合」を入れるべきものではないだろうか。
「持合丸に二つ引」「丸に持合二つ引」などなど。
しかしこれらの紋名だと更なる違和感があるとともにイメージし辛いのが現実だろう。
恐らく「名付けようがない」「そこまで拘っていない」「あくまでも通称」などの理由だろう。
「~の内」とすることで、差別化を行い、これを解決させたように思える。


図版6:持合麻の葉 図版7:持合四つ七宝花角
紋名の統一は不可能である
紋だけがずらずらと並んだ書物を「紋帖(もんちょう)」という。
紋帖が出現したのは江戸時代の中期頃である。
紋帖の出現とともに家紋がある程度の統一が行われるのであるが、それとともに紋名の統一化も徐々に始まってくる。
最も新しい紋帖は『平安紋鑑』である。これの初版は昭和十一年である。つまり紋の統一や紋名の統一の動きはこの時に終焉を迎えていると言えるのかもしれない。
この紋帖では様々な新しい試みが行われ、統一に近づくことが出来たものではあるが、それでも完璧な統一は出来ていない。
なぜ、出来ていないのか?
それは単純明快である。「統一は不可能」だからである。
家紋とは誰のものか?
それは「家」である。
紋に関わる業者や我々研究家よりもまずはその家。
紋名はその家で呼ばれている、呼ばれてきた名称こそがその紋の正確な紋名なのである。
紋帖や家紋辞典などに付けられている紋名とはあくまでも「一般的な名称」であり、「正しい紋名」というものは逆に言えば、存在しないのである。
私は家紋調査で様々な紋と出会う。
その紋たちは「名付けるのが難しい」ものから「名付けようのない紋」まで様々だ。
「この紋を使っている家ではどんな名称で呼ばれているのだろう?」
そんな思いを馳せながら、私は私の会(京都家紋研究会)の仲間たちとともに日々、語らっている。
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