揚羽蝶はアゲハチョウではない

近年、オリジナルの紋を作る方が増えてきた。
プロの方から素人の方まで様々だ。
インターネットで家紋について色々調べていると、
そういった方々のサイトやブログに出くわすこともしばしばある。

時折見かけるのが紋の「揚羽蝶」をモチーフにされていることもある。
紋の「揚羽蝶」は平氏の紋としても有名で、
平氏族であるという主張をするために揚羽蝶を用いた氏族も多い。
大変人気の高い紋であり、女紋として使用されることも多い。
余談だが、出雲の阿国の紋はこの揚羽蝶であるといわれる。

揚羽蝶



さて、本題だが、この揚羽蝶を「アゲハチョウ」と勘違いされている方が非常に多いのだ。
アゲハチョウはアゲハチョウ科に属する蝶であるが、紋章に用いられるのはこのことではない。

このネーミングは実に単純で「羽を上げてとまる」から「揚羽蝶」なのである。

そして逆に「羽を臥(伏)る」のが臥蝶(ふせちょう)である。

臥蝶はそのほとんどの紋帖や紋図鑑において、「浮線蝶」と表記される。
浮線綾(ふせんりょう)に蝶文様が増えたことで臥蝶丸(ふせちょうのまる)と呼ばれるようになったが、やがて浮線の意が蝶を意味するようになったと考えられる。(詳しくはいずれ文様紋「浮線綾」を書きたいと思う)


浮線蝶


何度も言うが、揚羽蝶はアゲハチョウではない。お間違えの無いように。
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プロフィール

森本勇矢

Author:森本勇矢
京都市在住。41歳。
本業である染色補正の傍ら家紋研究家として活動する。
一般社団法人京都家紋協会代表。
京都家紋研究会会長。
日本家紋研究会副会長。
月刊『歴史読本』への寄稿をする他、新聞掲載・TV出演など。
著書『日本の家紋大辞典』(日本実業出版社)
家紋制作、家系調査などのお仕事お待ちしております。
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